ホーム心房細動の治療法 ⇒ 薬物療法以外の治療法
薬物療法以外の治療法

薬物療法以外の心房細動の治療法として、非薬物療法というものがあります。心房細動治療のための抗不整脈薬は十分とはいえません。非薬物療法とは薬物投与で心房細動を抑制するだけでなく、その他の方法を使って治療するものです。その中には、1.高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)、2.ペースメーカ治療、3.心臓外科治療(メイズ)が挙げられます。

■高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)
現在頻脈性不整脈の治療として第一選択されるものが高周波カテーテルアブレーションです。心房性の頻脈性不整脈では成功率は約99%(再発率約5%)と高い成功率をあげています。心房細動においてはこれまで高周波カテーテルアブレーションによる治療は限られた施設でのみ行われていましたが、最近では心房細動に対するアブレーションを行う施設が全国にどんどん増えています。
高周波カテーテルアブレーションとは数本のカテーテルと呼ばれる管を心臓の中に進ませ、心臓の異常な心筋部を見つけ出してピンポイントで高周波通電を行うものです。治療用のカテーテルの先端が心筋に接触した部位は1秒間に約50万回振幅を繰り返し、心筋自体が摩擦を起こして熱を持ち蛋白凝固します。これにより異常な部位を絶縁するという治療です。
カテーテルアブレーションの最大のメリットは頻脈性不整脈を根治でき、QOLの改善が見込める点です。デメリットとしては侵襲的であり、ごくまれにですが合併症が起こる点です。
心房細動とは洞結節の正常ペースメーカからの信号で心房の興奮が始まらず、心房が1分間に約350〜600回の不規則な電気信号が発生し心房全体が細かく震え、心房の正しい収縮と拡張がなくなる不整脈です。これは主に肺静脈(肺と左心房をつなぐ血管)付近から不定期に興奮信号が発生することが原因です。
高周波カテーテルアブレーションではこの原因となる興奮部位をピンポイントに焼灼したり、原因となる肺静脈そのものを囲い不定期な信号が心房まで届かないように治療したりします。
心房細動における高周波カテーテルアブレーションの成功率は現時点で約80%でありますが、年々成功率が上がっている治療法でもあります。

■ペースメーカ治療
心房細動の治療法の一つとしてペースメーカ治療があります。
主に徐脈性不整脈と心房細動を併発しているケースの患者様に比較的多く用いられる治療法です。また、高齢の患者様では高周波カテーテルアブレーション治療は負担が大きいので、この治療法を行うケースがあります。
ペースメーカの種類はVVI(R)などの非生理的ペースメーカよりAAI(R)やDDD(R)などの生理的ペースメーカ( ペースメーカについての詳しい説明はこちら)は予防効果があるとされています。ただし、徐脈性頻脈性(慢性心房細動)ではVVI(R)が使用されます。
正常に近いリズムを取り戻すと心房細動も誘発されにくくなります。またオーバードライブサプレッションという機能を持ったペースメーカでは、心房細動が誘発された際に心房に対してオーバードライブ(連続刺激)を打ち、心房細動を抑制することもできます。
オーバードライブペーシングは心房性期外収縮がきっかけになって心房細動が起きている場合にも有効です。
さらに慢性心房細動の患者様には高周波カテーテルアブレーションを房室接合部とよばれる電気の通り道に行い、これをブロックしてリズム正しく心臓を動かせる方法もあります。
最近「ハイブリッド療法」といわれる抗不整脈薬とペースメーカのコンビネーション治療も注目されています。
※ 生理的ペースメーカ
心房と心室の両方をセンシング(感知)やペーシング(電気刺激)するペースメーカです。接続するリードは2本です。
※ 非生理的ペースメーカ
心室をセンシング(感知)やペーシング(電気刺激)するペースメーカです。接続するリードは1本です。VVI(R)と呼びます。

■心臓外科治療(メイズ)
心房の筋肉を迷路のようにメスや高周波カテーテルアブレーションで複雑に切開し、“不整脈の回路”を離断し不整脈が起こらないように行う外科手術。メスで一度切開したあとは心筋を縫合します。これは開胸(胸を切り開くこと)が必要となるので、心房機能が低下する点もあり、心房細動の治療のみとしてはあまり行われません。心臓の弁の機能が低下しており、弁置換手術( 人工弁についての詳しい説明はこちら)を受ける際に同時に行われるケースがあります。成功率は80%前後です。